宇宙放射線の重粒子成分が誘発するクラスターDNA損傷の解析と生物影響 - 公募研究 2016-2017

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研究課題名 宇宙放射線の重粒子成分が誘発するクラスターDNA損傷の解析と生物影響
研究代表者
井出 博
連携研究者
  • 平山 亮一
    放射線医学総合研究所 重粒子医科学センター・主任研究員

宇宙ステーションあるいは惑星探査ミッションで長期間にわたり宇宙に滞在する場合、宇宙放射線の健康に対する影響が重要な問題となる。宇宙放射線のうち銀河宇宙線は、線量としては陽子の寄与が大きいが、実効線量としては生物学的効果比の高い重粒子の寄与が大きくなる。したがって、宇宙放射線の健康影響を明らかにする上で重粒子線の生物影響メカニズム解明は重要な課題である。放射線照射された細胞では、飛跡と重なるDNA部位(ヘリックス数ターン)に密集した損傷(クラスター損傷)、離れた部位に孤立損傷が生じると考えられている。重粒子線は線エネルギー付与(LET)が高く、高密度に損傷を含むクラスター損傷が生物影響に関わっている可能性が指摘されている。しかし、実験的には、高密度クラスター損傷の証拠や損傷密度に関する知見は得られていない。

我々は、X線・重粒子線が誘発するクラスター損傷およびDNA-タンパク質クロスリンク損傷の検出と修復に関する研究を行ってきた。さらに、最近の研究により、原子間力顕微鏡(AFM)を用いることにより、DNA損傷部位を直接可視化できる可能性が出てきた。本研究では、これらの成果を基に、重粒子線誘発クラスター損傷の性状をAFMを用いて解析するとともに、塩基除去修復酵素によるクラスター損傷の不成功修復(abortive repair)の影響を調べ、重粒子線の生物影響メカニズム解明に取り組む。さらに、本研究のクラスター損傷に関する知見および損傷分析技術を領域内の研究者に提供し共同研究を行うことにより、本新学術領域の推進に貢献する。