重力に抗した3D臓器形成機構の解明 - 公募研究 2016-2017

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研究課題名 重力に抗した3D臓器形成機構の解明 - 微少重力下での複雑な立体臓器の構築に向けて
研究代表者
清木 誠
研究分担者
  • 北川 孝雄
    山口大学 医学部 システムズ 再生病態医化学・助教
  • 浅岡 洋一
    山口大学 医学部 ゲノム・機能分子解析学・講師

ヒトの眼球はレンズがカップ型をした眼杯の中心に配置されることで物体を認識できる。しかし、私たちの体では、さまざまな組織が独自の3次元の形を持ち、正しく配置するのを統御することで立体臓器を形成するメカニズムが存在するとはこれまで想定すらされていなかった。

われわれは、重力などの外力により臓器が扁平化するメダカ変異体hirame (hir)の解析から、その原因遺伝子YAPは、細胞の発生する物理的な力を介して、個々の組織の3次元化だけでなく、複数の組織の配置を制御することにより、重力に抗した立体臓器を構築することを世界に先駆けて報告した (図1: Porazinski et al., Nature 521, 2015)。

近年、培養技術の進歩によりヒト臓器様のオルガノイドをヒトES細胞、iPS細胞から作成・培養することが可能になった (Takebe et al., Cell Stem Cell, 2015)。しかし、再生医療に用いるためにはオルガノイドの拡大が必須である。YAPは、活性化させると臓器の大きさを数倍に拡大できるユニークな機能を持つ図2A、Dong, et al., Cell, 130, 2007)。従って、重力を変化させYAPを活性化させることにより、重力-YAP-3D臓器形成シグナルを介したヒトES/iPS細胞からの複雑な立体臓器の構築と拡大を促進することが可能だと考えられる(図2B)。

そこで本研究では、重力に応答したYAPシグナル活性化の分子メカニズムを明らかにすると共に、重力がYAP-メカノホメオスターシス シグナルのダイナミクスに与える影響を、メダカおよびヒト・3Dオルガノイドを用いて明らかにする。この結果に基づき、重力変化によって立体臓器の構築・拡大を目指す。

図1 重力などによって活性化したYAPが細胞張力を介して3次元化(左)と複数の組織を配置することにより立体臓器を作る。

図2 (A)YAPは活性化により臓器を拡大させるユニークな機能を持つ、(B)このYAPの機能を活用して、重力の変化によりYAPを活性化し、立体臓器の構築・拡大を行う。