研究概要

今日、国際宇宙ステーションにおいて人類は半年を超える長期宇宙滞在が可能となっています。月や火星への新たな有人惑星探査も次なる挑戦的課題として位置づけられ、未来を見据えた宇宙居住をテーマとする取組みが世界各国で始まっています。
宇宙の極限環境におかれたとき、生命はいったいどこまで可塑性を持つのだろうか?宇宙という非日常的な極限的ストレスは相乗的に作用するのでは?これらは宇宙で「より長く」滞在し、「より遠く」への到達をめざす上で知っておくべき課題です。
そこで本領域では、宇宙の極限環境から、生命体が有する可塑性と破綻を科学します。可塑性は外的変化に対して生命が有する適応・修復・頑強さ等による恒常性であり、破綻はその恒常性を破壊する不可逆的なダメージであり、長期宇宙滞在におけるリスクとなります。我々は宇宙の極限環境リスクとして、無重力、閉鎖環境、宇宙放射線および微生物環境リスクを重点的に取り上げます。これらの問題に学際的なチームで臨むことによって、分子・細胞レベルからヒトの高次制御まで、統合的に理解することで、これらの要素の相互の関連や複合的効果等、未知の領域に挑戦します。 さらには、そこで得られた知見を、地上での超高齢化・高ストレス社会を克服するための方策として応用することを目指しています。

本研究領域の学術的達成目標・意義・発展
組織俯瞰図

研究組織

本研究の学術的ねらいは、宇宙の極限環境から、生命体が有する可塑性と破綻を科学することです。
そのため、下記の俯瞰図のような組織体制をとっています。

組織俯瞰図
組織俯瞰図

研究グループを大きくA01、A02、A03のカテゴリーに分類し、A01では細胞や小型モデル動物を用いて重力応答の分子細胞基盤を、A02では、ヒトを中心に宇宙環境の高次恒常性への影響を、A03では、宇宙放射線・微生物相の変化など宇宙環境リスクを取り上げ、計画研究と公募研究によってこれらを解明します。
そして総括班によりこれらの研究を統合的に推進します。

総括班のメンバーは以下の通りです。

総括班メンバー
氏名 所属・役職
古川 聡 宇宙航空研究開発機構 有人宇宙技術部門・主幹開発員
成瀬 恵治 岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科・教授
東谷 篤志 東北大学 大学院生命科学研究科・教授
瀬原 淳子 京都大学 ウイルス・再生医科学研究所・連携教授
岩崎 賢一 日本大学 医学部・教授
森田 啓之 岐阜大学 大学院医学系研究科・教授
松崎 一葉 筑波大学 大学院医学医療系・教授
長瀬 博 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構・教授
根井 充 量子科学技術研究開発機構 安全管理部・部長
高橋 昭久 群馬大学 重粒子線医学推進機構・教授
那須 正夫 大阪大谷大学 大学院薬学研究科・教授、大阪大学・名誉教授
日出間 純 東北大学 大学院生命科学研究科・准教授
東端 晃 宇宙航空研究開発機構 有人宇宙技術部門・主任開発員
嶋津 徹 日本宇宙フォーラム・主任研究員