骨代謝を制御する重力シグナルにおけるPI3Kの重要性の解明- 公募研究 2018-2019
研究課題名 | 骨代謝を制御する重力シグナルにおけるPI3Kの重要性の解明 |
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身体の支持や運動、臓器保護や造血といった多機能を有する骨組織に対する力学的荷重は恒常性維持に最も重要な要素である。骨組織では、常に古い骨は破骨細胞によって壊され、新しい骨が骨芽細胞によって形成される。この破壊と形成のバランスが保たれることにより正常な骨組織が維持されるが、寝たきりや運動不足といった骨組織に力学的負荷がかからない環境ではバランスが破壊に傾き、骨量が低下して骨粗鬆症を発症する。例えば、宇宙空間など微小重力環境下における骨量低下は、地上における通常の骨粗鬆症と比較して約10倍の速度で骨量が減少する。
骨組織に対する力学的負荷は骨小腔内に存在する骨細胞(オステオサイト)への間質液によるシェアストレスという形で伝わり、骨細胞内シグナル伝達経路を活性化し、骨形成・骨吸収制御分子の発現・機能調節を介して骨組織の恒常性を維持する。この分子メカニズムが解明されれば、骨代謝における身体運動の意義が分子レベルで明らかになるのみならず、人為的に骨細胞機能を制御し、骨の恒常性を維持する手法の開発が可能となり、月面探査や火星探査を目指す宇宙飛行士の骨保護に結びつく可能性がある。本研究では骨細胞のPI3Kに焦点を当て、骨組織の力学的負荷の感知メカニズムおよび骨代謝制御の分子メカニズムを解明する。