筋ミトコンドリアによる無重力ストレス感知機構- 公募研究 2018-2019
研究課題名 | 筋ミトコンドリアによる無重力ストレス感知機構 |
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目的
無重力ストレスは骨格筋のエネルギ-産生系を好気的解糖系から嫌気的解糖系に変換(代謝リプログラミング)する(=無重力環境は負荷がかからないため、運動のためのエネルギーをそれほど必要としない)。我々は、前の公募研究で無重力ストレスは、酸化ストレスを介してTCAサイクルの律速酵素であるアコニターゼを不活化し、代謝リプログラミングを誘導することを発見した。
本研究では、この酸化ストレスの起源がオルガネラ相互作用の分子装置XXXであることを実証し、無重力の感知機構(無重力センサー)の全貌を解明する。
これまでの研究概要
1.「無重力や模擬無重力による筋細胞内酸化ストレスの誘導」:Myolab宇宙実験においてL6細胞を宇宙に打ち上げ、メタボローム解析を行ったところ、酸化ストレスの蓄積が示唆された。そこで、地上での模擬微小重力モデルの一つである3D-Clinorotationを用いて酸化ストレスの測定を行うと、3D-Clinorotation 開始後0.5時間という早い段階から酸化ストレス産生が増大していることが分かった。さらに、その酸化ストレスはSuper oxide anionであることを同定した。
2.「酸化ストレスによるユビキチンリガーゼCbl-bの発現」:我々は、廃用性筋萎縮に関与する酸化ストレスを介した二つの経路を見出した。その一つ目は、筋質量を減少させる、転写調節因子Egr1/2を介したCbl-bの発現上昇経路である。我々は、Cbl-bの上流因子を調べるために、ルシフェラーゼアッセイを用いて、酸化ストレスによるヒトCbl-b遺伝子のプロモーター領域を解析したところ、上流-111 bp~-60 bpで酸化ストレス応答性のルシフェラーゼ活性の上昇がみられた。上流配列の候補タンパク質を用いたスーパーシフトアッセイから、Cbl-bの発現は酸化ストレス誘導性のEgr1/2であることが示された。
本年度の研究計画
無重力による酸化ストレス蓄積の誘因となるXXX構造の破綻の確認
マウスを尾部懸垂(模擬微小重力)に供すると、XXX構造を維持するYYYの分解が亢進することを既に見出している。そこで、XXXの破綻とミトコンドリアの機能異常の相関を電子顕微鏡観察や分子生物学的手法などで解析する。